和やかなムードで食事が終わり、そのままリビングに移動してワインが開けられた。ダウンライトの暖かい光に照らされるとても広い空間に、シックなブラウンのテーブルとソファ。一目見てアンティークと判るラグ。どれも高価そうで、汚せませんよね(小市民)。
にしても。ワインクーラーはともかく、ワインセラーまで持ってるって……どれだけセレブなんですか、桂木さんは。
ここでも準備をしたのは高宮さんで、簡単に摘まめるオードブルまで用意してくれた。
そういえば、今更ながら気付いた。高宮さんのメガネがない……って。背筋も伸びて猫背じゃないし、ヒゲはそのままだけど。全然別人に見える。
……というか。
彼ってこんなに、目が綺麗だったんだ。
淡い水色も含んだようなグレーの瞳は、何だか吸い込まれそう。顔立ちが桂木さんより整っていたんだ、ということよりも。私は彼の瞳から目を離すことができなかった。



