身代わり王子にご用心





「私なら構いませんよ。ゆっくり待っててください」


私が2人にそう言えば、桂木さんは申し訳ない、と目礼してから藤沢さんにこう提案した。


「なら、ちょっと片付けを手伝って欲しいことがあるんだ。仕事のちょっとした雑事でね。それがてら君の話を聞かせてもらってもいい?」


おっと、桂木氏は実にさりげなく藤沢さんの腰に手を添えて方向転換させましたね。流石にその道のスペシャリスト。女性の扱いに関しては一流なのですね。気配りも上手いし、こりゃモテるはずですよ。


なんて見とれるほど美男美女の組み合わせは、まさに眼福、眼福。良いものを見せていただきました。


心の中で感謝の気持ちから手を合わせつつ、切ったズッキーニとナスを揚げる。コンソメやトマトソースで煮るのもよいけど、この二つは油との相性が良いから、揚げてから入れた方が美味しいと個人的に思いまする。


そして私がホワイトソースを、高宮さんがミートソースを作る。ラザニアを焼き上げている間、私がミモザサラダを用意し彼はクラムチャウダーと何かを作り始めた。