ごく自然に出てきた言葉だった。
男性全般が苦手な私にしては珍しく、高宮さんにはスラスラと話ができる。
高宮さんからのリアクションはほとんどないけども、時折言葉を挟んでも鬱陶しがらずに聞いてくれてたと思う。
どんな流れかいつの間にか私がズッキーニとナスを切っている最中、エプロンを手にした藤沢さんがキッチンに顔を出した。
「すいません、わたしも手伝えることはありませんか?」
「何もない。これ以上この場を荒らすな」
高宮さんは可愛らしい藤沢さんですら、きっぱり拒否をする。ある意味平等とも言えるけど。
「おい、雅幸(まさゆき)、 それはないだろう。藤沢さん、ごめんな。こいつ無愛想で。料理中に邪魔されるのを一番嫌がるんだ。向こうで映画でも観ながら待ってようか」
「でも、水科さんがお手伝いしてるのに。わたしだけが何もしないのは」
流石に藤沢さんも心苦しいらしい。



