けど、店長が全体朝礼にやって来た時に意外な人を伴って現れたから、会議室にいた人達からざわめきが上がった。
現れたその人は銀色の髪とブルーグレイの瞳を持ち、かなりの長身で紺地に白のストライプのスーツに身を包んでいた。
肌色は白と言うより黄色が強く出ているけど。それでも西洋人らしく肌がきめ細かい。顔立ちは相当な美貌で品があって、どことなく見覚えがあるような?気がした。
吸い寄せられるように見たブルーグレイの瞳に見入っていると、なぜかその人は私を見てにっこりと笑い軽く手を振る。
(えっ? 私……会ったことがないはずだけど)
それでも瞳を含めて誰かに似ている気がして、その誰かを捜せば。彼はいない。
(あれ? 早番じゃなかったの)
私が戸惑っていると、意外な人から黄色い声が上がった。
「まあ、カイ様! お久しぶりですわ」
そう言って嬉々として正体不明な彼の元に駆けつけたのは、大谷さんだった。
「本当にご無沙汰してまして。憶えてらっしゃいますか? 以前来日された時にお世話した鈴村家の娘の奈美でございます」
大谷さんが話しかけてるのを、熊田店長は驚いたように見た。
「大谷さんは既にお知り合いだったのか?」
「ええ! 当然です。カイ様がお母上様の里帰りで来日された時、お世話申しあげたのがわたしの実家の鈴村家でしたから。それは親しくして頂きまして」
ほほほ、と上品ぶった笑い声を上げた大谷さんは得意満面な様子でこちらをチラッと見た。
「わたくしの実家は父が議員をやってましたから……そのご縁でお世話役の栄誉を受けましたの」



