「おはようございます」
「ああ、おはよ」
雑貨担当の坂上さんは早番だったらしく、朝礼の行われる会議室にやって来てた。
たぶん、彼女はまだ知らないはずだ。だから、昨日あった出来事をザッと説明すると、案の定めちゃくちゃ腹を立てたようだった。
「なにさ、それ! 会社の備品であるロッカーを汚すイタズラをするなんて。まるっきり三歳児のやることじゃないの」
坂上さんも犯人の心当たりがあるのか、じろりと一方を睨み付ける。その先には、夫であるフロア長にべったりな大谷さんと、彼女のシンパである社員やパートさんがいた。
大谷さんはたぶん、夫にさっきの出来事を針小棒大に。あることないことを付け足し吹き込んでるに違いない。
だからか、大谷フロア長の目付きが見る間に険しくなり、私を睨み付けてたから。大谷さんがそら見たことかとこちらをバカにした笑いを浮かべるのが見えた。
「あんた、気にしちゃ駄目だよ。少なくともあたしはあんたの味方だから。あんなやつに負けちゃいけない」
「はい、分かってます」
私は坂上さんに頷くと、逆に大谷さんとフロア長をジッと見返す。
もう、怖がるもんか。
大谷フロア長の画策でたとえクビになったって構わない。いつまでも怯えて言いなりじゃあ、やられっぱなしでいるだけ。それじゃあ自分と言うものが無いも同然だから。
妹の桜花だって、今までの私の現状を知ったらきっと悲しむし心配させてしまう。
彼女を本当の意味で安心させるために、私は一人でも大丈夫と証明しなきゃ。



