なんてのんびりした考えは、対人関係のスキルが低すぎるから出てくるもので。
この対応を後々ひどく後悔するはめになるなんて、その時は微塵も思わなかった。
なぜか桂木さんは私に断って、少し離れた場所で話し始める。営業スマイルと穏やかな声音が聞こえるから、さほど変な話はしてないだろうと思った通り。ほんの30秒くらいで電話を返して貰えた。
「どうもありがとうございました。妹さんに納得していただけましたよ」
何を? と聞く前に、スピーカーから妹の声が聞こえたから携帯電話を耳に当てる。
『お姉ちゃん、ちゃんと予定があったんじゃない。水くさいなあ、もう! それじゃあ野暮になっちゃうから、あたしはこれで。みくっちにもよろしく~』
バハハ~イ! とずいぶんハイテンションに妹が通話を終わり、みくっちって誰だ? と首を捻れば。
「桜花ってやっと結婚が決まったんですか!? やったあ!!」
私の話を聞いた藤沢さんの名前が未来(みく)で。実は妹と高校の同級生という事実を初めて知った。



