高宮さんの部屋に行く途中で、はっと足を止めた。
起き抜けなのか、ちょうどドアを開けた彼がいたから。
やっぱり就寝中は裸らしく、今も上半身は裸で下も綿のズボンしか穿いてない。
予想外の彼の出現に心臓が止まりそうなまま私が固まっていると、あくびを噛み殺した彼は、ボサボサな頭を掻きながら歩く。
そういえば、と私は彼のサポーターに包まれた左足を見て思い出す。
「あ、あの……!」
思い切って声を掛けると、高宮さんは足を止めてくれた。
「……何?」
無愛想極まりない口調。面倒くさい感情が駄々漏れだけど、めげるなと勇気を奮い起こした。
「足の具合は……どうですか?」
「……別に、歩くのに支障はないから」
それで察しろ、というような空気が彼から発されている。あまり関わりたくない、というのが見え見えだった。
「い、いえ。あの……困ったことは」
「特にない」
そう言ってから、高宮さんはこちらを向いて無表情なまま私を突き放した。
「前に言ったはずだよな? これはオレが勝手に負った傷だからアンタは気にするなって。余計な心配をする前に、アンタにはすべき事があるんじゃないのか?」



