誰もが安心出来るような包み込まれそうな優しさと、太陽のような明るさと清楚さが同居してて。一瞬で惹かれてしまう気持ちも理解出来る。
――高宮さんが彼女を選んだのも、自然なことだったんだろうな。
“マリアの得意料理はミモザサラダだったんだ”
だから、なんだ。
高宮さんがお礼に、とミモザサラダを望んだのは。
でもきっと、私のは理想(マリアさんの味)とは違ったんだろう。
朝、作ると言っておいたから夜遅くなっても頑張って作り置きをしておいたけど。彼が食べた様子は全くなかったから。
……やっぱり、マリアさんのミモザサラダを食べたいんだろうな。
あの日以来、高宮さんは私を全く見てくれなくなった。桂木さんや藤沢さんには多少受け答えはするけれど、私だけ居ないように扱われる。
(やっぱり……お礼の押し付けは図々しいと思ったんだろうな)
じわり、と滲んできたものを誤魔化すように、蛇口から出したお水を両手で掬い顔にぶつけた。



