でも、流石に店員さんも接客のプロ。何事も無かったかのように配膳していき、「それではごゆっくりお召し上がりください」と頭を下げて出ていかれました。
でも、絶対に呆れてる。きっと後で他の従業員と笑い話にするんだ。
(やっぱりいくら外見を取り繕ったところで、急に変われないんだ)
「うう……」
またも落ち込んで唸った私に、桂木さんは先に箸を取って促した。
「せっかくの料理が冷めちゃいますよ。いただきましょう」
「はい……」
たしかに、自分のドジはさておいて。一生懸命に作って下さったお料理を頂かないのは失礼だ、と私も箸を取る……前に。
いつもの習慣でお膳を前にして手を合わせ、ペコリと頭を軽く下げた。
「頂きます」
そして、木の箸を手にしてみたけど。改めてお膳を眺めてそのお料理に心を奪われた。



