そして、あれよあれよという間にリムジンで次に向かったのが、古い民家を移築して出来た和食の創作料理を出すお店。
茅葺きの屋根はそのままに、内部を改装した和洋折衷型のスタイルで、焦げ茶色の太い柱や木造の壁はよく磨き上げられ、吊り下げ式の照明の柔らかい光で艶々と輝いてた。
桂木さんが選んだお部屋は、囲炉裏(いろり)がある畳敷きのお部屋。広々とした縁側があって、竹林とささやかな庭園がよく見えた。
普段は四畳半の部屋を使っているから、十畳以上の部屋はとても広く感じる。
囲炉裏を取り囲んで座るスタイルは初めてだけど、いろいろと物珍しくてついついあちこちを眺めてしまって。 気がついたら、もうお膳が運ばれてきてた。
「お待たせいたしました」
という着物姿の店員さんにびっくりして、思わず
「は、はい! 失礼いたしました!」
と返してしまい……。
微妙な空気を生み出してしまって、穴があったら入りたい。いや寧ろ自ら穴を掘って埋まりたい気分になりましたよ……。



