椅子から立ち上がった桂木さんは、私の方を見て微笑む。
「やはり、僕の見立てに狂いはありませんでしたね。とっても綺麗ですよ。雪の中咲き誇る椿のようです」
今度は、私が固まる番だった。桂木さんの甘やかな視線と笑みを受けるのには慣れてないから、免疫がない以上は仕方ないけど。
……というか。
お世辞でも綺麗だなんて男性から言われたのは、生まれて初めてです。
「あらあら~桃花ちゃんにはダメージが大きいみたいね。暁ちゃん、あんまり初な女の子に刺激が強いことをしちゃダメよ」
「いえ、僕は思ったままを口にしたまでですが」
富士美さんの注意を彼はサラッと流してますけど。砂糖菓子みたいな甘さ駄々漏れな流し目をこちらへ向けるのはやめてー!



