「どぉ、暁ちゃん。久々にわたくしの自信作よ」
「……」
富士美さんに連れられて現れた私を見た途端、椅子に座った桂木さんが瞬時に固まったのが分かった。
微笑む途中のまま顔が固まってしまい、目だけ見開いてるから何だか微妙な笑みになってしまってる。
「や……やっぱり変……なんですよね。素材が悪いから、どんなプロがされても一緒」
「シャラップ!」
私がいじけた弱気な言葉を出すと、富士美さんに人差し指で唇を塞がれた。
「あなた、わたくしのセンスが悪いって言いたいの?」
「い、いいえ! とんでもない。私にはもったいないくらいです。でも、私みたいな素材の悪さが全てを台無しにしてませんか?」
怒りのオーラが見えてきそうな迫力の富士美さんに、首をブンブンと横に振る。ふん、と彼女は桂木さんを横目で見て顎を上げた。
「さ、桃花ちゃん。このままわたくしと遅いお昼ごはん行きましょ~夜は行きつけのバーに連れていってあげるわ。きっとモテるわよ」



