身代わり王子にご用心





だから、余計に諦めてきた。


話しかけても最低限の返事しかされなかったり、あからさまに逃げられたり嫌な顔でスルーされたり。


そんな態度しか取られないなら、異性に夢を持つこともない。嘘つきで浮気者の最低な父親に影響を受けた男性観が、妙に私を達観させた。


“どうせ私は最初から男性に相手なんてされないんだ”――と。


深く傷ついた女性としてのプライドを護るためか、私は最初から期待しないようにした。だから、今まで失望をしたことも。失恋をしたこともない。


(……でも)


私は、キュッと拳を握りしめる。


“そうやって全てを他人のせいにして流されてる限り、アンタは一生変わらない。変える努力をしなきゃ、いつまでも同じだよ”


――“彼”の言葉が、またも心を揺さぶる。


(私は……逃げちゃいけない。現実と向き合って自分を変えなきゃ……)


奥歯を噛みしめた私は、恐々とまぶたを開く。そして、目の前にある鏡に目を向けた。