「なぜですか? 最悪命の危険もあったんですよ。監禁の罪にも問える事件なんですから」
罪、事件と聞いて私はハッとした。
そういえば、私は気管支炎にかかってもうほとんど治ったけど。脱出する為に高宮さんが怪我を負ったんだ。
……私はともかく。彼の怪我は未だに治っていない。その事に何だか腹が立ってきた。
「高宮さんは……足を怪我してましたよね? まさか、骨に異常があったんですか?」
「いや、骨は何とも。あいつは鍛え方が違うから、捻挫程度で済んだみたいです」
捻挫と聞いてホッと安堵したけど、それでも高宮さんが不自由な思いをしている事実は変わらない。
私が閉じ込められたせいでもあるけれど、一番悪いのは閉じ込めた犯人だ。
(……許せない)
自分の事よりも何よりも、高宮さんが痛いめに遭ったのが許せなく思える。
こんなことは初めてだったけど、彼は自分から何もしないだろうとは解ってるから。私がという思いが強くなる。



