「あ…そうそう!」



「お前の歌、もう一度聞かせてほしいんだ」



え…



歌を歌うのを頼まれたの??



あんなに下手なのに??



「え…それは…ちょっと…」



「他のことならなんでもするよ?」



「だから…ねっ?」



上目遣いで蒼の方を見る…



「頼むから!」



「歌ってくれたら、連絡先教えてやるから」



え…



普通に教えてくれないの??



「普通に教えてよー!」



「ねっ?歌うのだけは!!」



ほんとに歌うのだけは!!



自信がないの…



先生が誉めてくれても、何をされても親の寄付金が目当てな気がして…



だから…



「ごめんなさい!」



「だめだって!俺はお前の声が聞きたいんだ」



「うまいとか下手の問題じゃない」



スゥーッと心の塊がとれた気がした



そんなことは初めて言われた



いつも実力だけを見られて、点数を…評価をつけられる



楽しくなんて歌えない



あくまで点数を取りに行かなければならないから。



「わかったよ」



「ほんとか!?ありがとう!」



「あの堤防で集合な!」