黎「それ本当かよ」




「ホントだっての。疑うなら郁翔さんにも聞いてみろよ」




黎「それってもうさ、学校公認のアイドルやんかな」




「架月に逢わせなくて良かっただろ?」




黎「沙絃様」




「今度焼き肉奢れ」




黎「流石にそこまで感謝してない」





と、こそこそそんな話をしていると、里苑さんが体を起こして俺たちをみた。





爽やかに吹いた風が里苑さんの綺麗な茶色の髪を靡かせた。


惚れ惚れするくらい絵になっていて悔しいがとても敵わない。





里「それ嘘だから。屋上は皆で使う場所だろ?」




黎「でも実際誰も来なくないっスか?」




「この時間帯だからなぁ」




黎「俺たちの他にサボる人なんていないか」




里「皆真面目~」





ヘラヘラ~っと何ともないみたいに笑う里苑さん。


その顔を凝視していると不思議そうに見つめ返された。





里「何?」




「いやー、里苑さんの友達ってどんなんかなって思って」




里「カッコいいよ。ていうか可愛い?」




黎「逢いに行きましょう」





すくっと立ち上がった黎の腕を引っ張った里苑さんは無理矢理座らせた。





黎「どうしたんスか?」




里「あいつ人見知り気味だからさ、いきなり行くのもあれだし。今、いないし」




「休んでるんスか」




里「違う違う。...放課後、音楽室にいるんだ」




「何その繊細そうな男子」




黎「絶対美少年やん」




里「それ真面目に合ってる」




「写メないんスか?」




里「んー写真撮るのも嫌がるからなーあいつ」




「かわい!気弱な女子か!」




黎「架月だったら絶対、...」