沙「あの、白嵜さん」
里「ん?」
ちょっとちょっと沙絃...!変なこと言うなよ!
ハラハラしながら沙絃の言葉の続きを待つ。
すると突然沙絃が頭を下げた。
へ?何故?
沙「友達になって下さい」
架月の時もそうだったけどさぁ、いきなり過ぎるってば!
架月の時はすんなりと言ったけど里苑さんも同じようにいくと、
里「いいよ」
沙「日々野沙絃と申します」
里「じゃあ沙絃な。俺のことは里苑でいいよ」
沙「里苑さんで」
...めっちゃスムーズ。
なんだ、リズムよく事が進んでってるぞ。見てるこっちが清々しいぞ。
、て待て待て。
「ちょっとすいません里苑さん」
一言断りを入れて沙絃を連行。
今度は俺が顔を寄せてコソコソ話す。
「なんで友達になってんだよ」
沙「憧れてたからに決まってんだろ?」
「でもさっき架月がとられるーとかなんとか言ってたじゃねぇかよ」
沙「架月は紹介したくねぇけど友達にはなりたいの」
「いや友達になったら必然的に架月と顔を合わせる機会も増えるってことだぞ?」
沙「...ハ!そうか!俺は里苑さんが架月と顔を合わせるのを阻止しなければいけないのか!」
「もう俺お前がなにしたいかわかんない」
沙「俺もだ」
「ダメダメじゃん...」
ため息をついて首を横に振っていると、
何か思い付いた様子の沙絃。
俺の肩に手を置いて「いいか、黎」と言い聞かせるように言ってきた。
しょーがないから聞いたげよう。
沙「この場凌ぎの作戦だ」
「はぁ...」
沙「いいか、HRが始まるギリギリまで里苑さんを引き留めておいて逢うことを阻止するんだ」
「ほうほう」
沙「そうと決まれば黎、適当に時間稼ぎしとけ!」
話すだけ話した沙絃は俺の背中を押して里苑さんに「じゃあ」と会釈をするとさっさと行ってしまった。
