ポジティブGIRLと愉快なBOYたち

心のなかで静かに決意すると同時に着信音が耳に入った。





ポケットからスマホを出して表示をみると悠からで、思わず眉間にシワが寄る。





沙絃を突き飛ばす勢いで肩に回された腕を振り払うと、近くの電柱に運悪く頭をぶつけたようでうずくまっていた。





脳震盪起こしてないといいけど。



俺この年で警察行きはやだ、絶対。





「もしもし、はる...」




架「あ、空祈~?私私」




「すいません、俺娘なんていないんで」




架「ちょ...!違う違う!詐欺じゃないから!『私私詐欺』なんてやってないからー!」




「『私私詐欺』なんて聞いたことねぇよ」





なんて言いにくい詐欺名だ。



『オレオレ詐欺』しかしらねぇよ。





「悠ってそんな女みたいな声してたっけ」




架「私架月ちゃんでございまーっす」




「知ってる。君悠に何やったの?」




架「な、何もしてないよ!断じて!!部屋に監禁して暴行なんてしてないからね!?」




「つまりそれをやったってこと」




架「ほんとにほんとにやってないから!」




沙「ちょっと待てソラ、さっきから『ヤった』『ヤった』ってどーゆーこと!?」





真面目な顔して肩に手を置かれて問われ、思わず深くため息をついた。





また厄介なことになった。架月ちゃんは俺にとって疫病神か。





「もーお前うるさい。今度はドブに突き落とすぞ」



沙「『今度は』ってことはさっきの電柱はわざとだったのか!」