この道を通るのは
どのくらいぶりだろう・・・

家に帰らなくなって
初めて、この道を通る。


そして、家の前に立ち
鍵を開けるのを
ためらっている自分がいる。


この時間にお母さんがいるはずないけれど・・・・


夕方はあの男がいるから・・・


書置きだけでもしておこう。

そう思い

意を決して玄関の扉を開け
部屋の中へと入ると


「んっあっっいい」


私の目に最初に飛び込んできたのは

お母さんという名の

一人の女が
淫らな姿で喘ぎ、男にしがみつく姿であり


私の存在に気づかない母親は
更に淫らになっていく。


「何だ、混ざるか?」


私に気づいた男は
ニヤついた表情を浮かべ


「ま、真弓!?
や、やぁね、ビックリしちゃった」


気まずい様子で
近くの洋服を羽織るお母さん。


「洋服取りにきただけだから・・」


「え?あ・・・・」


奥の部屋に行き
そこら辺の服を
近くにあったバッグに詰め込み


「じゃあ・・・」

そう言いながら背を向ける私に

「真弓、何か・・ごめんね」

そんなお母さんの言葉が聞こえたけれど

私は、振り向く事もできず
お母さんと目を合わす事もなく
家を後にした。