夕方6時過ぎ
外の通路をドタバタと走る音が室内にまで響き渡り
その延長戦のように
玄関を激しく開ける音、廊下を走る音が聞こえ
廊下の方に目を向けると


「よ、良かった・・いた」



息を切らし、その場に座り込むようにしゃがむリオンくんの姿がある。


「どうしたの?」


思わず驚き、そう問いかけると


「もう、真弓ちゃんいないかと・・・
でも、電気がついてて・・・はぁ・・久々に走った・・」



大きく深呼吸をし、呼吸を整えている。


「え?っていうか、もしかして
ごはん作ってくれたの!?」



目を丸くし、机の上を見ている。



「お米と冷凍ネギしかなかったから
チャーハンっぽいものを・・」


冷蔵庫には見事に何もなく
唯一あるのは、お米と
冷凍庫に入っていた冷凍ネギ
そして、調味料類の塩コショウ、醤油、砂糖、唐辛子のみという
いたってシンプルな常備品の数々。


これでできるものといえば
チャーハンまがいのものしか
特に料理を得意としない私には思いつかない。


スープもネギのみの具に
醤油と塩コショウで味付けただけの
微妙なお味のスープになっている。


そんな微妙な夜ごはんを
美味しそうに食べてくれているリオンくんは

やっぱり、根から優しい人間なのだろう。