何も話さない車内のまま
リオンくんのアパートに着き

室内に入ってからも
何も言葉が出てこない空間。


そして、ようやく
話を切り出したのは

やはり、リオンくんの方だった。



「これ・・・ここの鍵。
あと、俺の財布・・」



机に、鍵とリオンくんの財布が差し出され


驚き、顔を上げる私に更に続けた。



「俺の金、好きに使っていいから。」


その言葉に
財布を突き返そうとするけれど


「だから、ここにいて。
頼むから・・・」


悔しそうな表情を浮かべ
うつむきながら話すリオンくんを見て


ようやく、自分が


どれほどリオンくんに
ひどい事をしていたのかと
実感してしまって

言葉が出なくなってしまった。