「くっ・・・っくくく
お嬢さん、雨は止みませんが
雨宿りはさせてあげますよ?ははは」


賽銭箱の奥にある
小さなやしろから
笑いを堪えたような、そんな声が聞こえる。


な、何!?

今・・・声したよね?


振り返り見るけれど
赤く小さな扉の向こう側は見えない。


そんな私の様子が
中から見えているのか


「散らかってますけど
どーぞ?」


小さな赤い扉が
ゆっくりと開いた。


中は暗くて
まったく、ここから伺い知る事ができないけれど・・・


恐る恐る
扉の前に近づき
中を伺いながらも
しゃがみこむように入った。



暗くて、よく見えない・・・。




「あ、その扉閉めといて」


そんな言葉の方向に目をやると
暗いけれど
うっすらと人影が見える。


「あ、はい」


何だか、優しそうな声に
言われるがまま
扉を閉めた。


「最近、毎日いるよね。
ここ幽霊が出るって
小学生どころか大人すら近寄らないのに
よく来るなぁって関心してたんだけど
まさか、こんな大雨でもくるなんてね」


幽霊・・・そんな情報知らない・・・。