どうやら、凪流は私への手紙を残していたらしい。私だけに読んで欲しいと、書いてあった。そこには、こう書いてあった。

『大好きな李乃へ
突然のことで、理解できないかと思う。
意味も、何も、分からないと思う。
まずは、いきなりいなくなって、ごめん
ね。実は、李乃がイジメグループのリー
ダーの前で土下座していたのを、見てい
ました。黙っていて、ごめんね。
嬉しかったよ。李乃が私の為に、謝って
くれて。涙が止まらなかった。
これでいじめはなくなるんだ、辛くな
くなるんだ、って、思った。でもね、い
じめは終わらなかった。それどころか、
どんどん酷くなっていった。
もう、耐えられなくて、ごめんね。ごめ
んね。何回謝っても、足りないと思う。
李乃は、頑張って生きてね、李乃を置い
て死んじゃって、ごめんね。許してくれ
なくていい、この気持ちだけ伝えさせて
大好きだよ。李乃。
凪流より。』


「うっ·········うぅ·········うぁああ·········。」
涙が、止まらない。止まらない。止まらないよ·········。
「凪流·········ごめんね?気づけなくて······。」

てっきり、いじめは終わったのだと、思ってた。凪流も楽しく学校生活をおくっているんだと、思っていた。それは、間違いだった。

「許して·········凪流······ごめんね·········。ごめんね·····ごめんね·····ごめんね·······。」

まだ、凪流と一緒にいたかった。
一緒に笑い合いたかった。
一緒にお出かけとかしたかった。
一緒にカラオケとか行きたかった。
一緒に映画を見に行きたかった。
一緒に話したかった·········。

凪流とやりたいこと、いっぱいいっぱい、あったのに·········。
もう、いないの·········?凪流·········。
置いていかないでよ·········!!

「うぁあっ·········うわぁあああああ·········。」

酷い。酷い。憎い。凪流を虐めた人達が。
凪流の苦しみに気づけなかった私が。

「ごめんね·········?苦しかったよね·········。気づけなくて、ごめんね······許してくれなくていいよ·········ごめんね?ごめんね·········?」

未練がましいかもしれないけど、やっぱり最後に話したかった。笑い合いたかった。

でも──────


「さよなら。凪流。」


言えるのはこれだけ。
辛かったよね、今まで。

だから、天国では、楽しく暮らしてね。

「凪流のぶんも·········精一杯生きるからね·········!見ててよ·····?凪流·········。」

〈ありがとう。李乃。〉

凪流の声が聞こえた気がした。
感謝したいのはこっちだよ。凪流。

「凪流と出逢えて、よかった。幸せだった。ありがとう。本当に、ありがとう。」