なんだよ、可愛いな。 ……じゃなくてっ。 「とにかくっ!」 俺は楓の視線をこちらに戻させようと大きな声で言う。 「まだ俺のことなんとも思ってないのは分かってる。だから返事はいらない」 ふと気づけば再び屋上に入った時よりも雲はなくなっていて、薄い灰色より青が勝っていた。 見え隠れする太陽が、俺の背中を押してくれるようだった。 まっすぐ楓を見つめる。 そしてはっきりと言った。 「だけどいつか、必ず楓の1番になってみせる」