「隼人ー?何ぼーっと突っ立てんのー?」 楓が笑いながらこっちを見る。 ……なんか、ストンと重たいものが無くなって、体が軽くなったみたいだ。 俺はふっと小さく笑いながら楓の元へ歩き出した。 「いや、なんか見とれてた」 「え?」 「楓が、綺麗に見えて」 「んな……っ」 素直に思ったことを口に出すと、楓の頬が少し赤くなっていったのが分かった。 「え、あ、いやでも今あたし泣いた後だし、綺麗な要素なんてひとつも……」 楓は下を向きながらゴニョゴニョ言葉を発している。