いつも通りの楓の様子にほっとしつつ俺は屋上のドアを開けた。 「お、雨止んでんじゃん」 空はまだ雲で覆われていたが、さっきより薄い灰色になっていた。 所々にある水たまりが、その空を映している。 楓が俺を追い越しドアの向こうへと走っていく。 「…………はははっ!」 そしていきなり笑いながらくるくると回りだした。 え。 俺は近くに行こうと踏み出そうとしていた右足を止めた。 「……楓さん?」 若干引き気味で楓の名前を呼ぶ。