俺は楓の肩を掴みこちらに顔を向かせた。 「……隼、人」 楓は俺が居ることに驚いているようで目を見開かせている。 その頬は濡れていた。 雨のせいか、涙のせいか。 とりあえず俺は楓の手を取り中に入らせた。 屋上のドアを閉めると雨の音が小さくなる。 「……楓」 数十秒の沈黙の後、名前を呼ぶ。