屋上のドアを開ける。 雨足はさっきよりも強くなっていた。 屋上の真ん中、座り込んでいる背中が目に入った。 あれはどう見ても、間違いなく。 「…………」 濡れるのもお構いなしに一歩、前へ進み出す。 そして座り込んでいる小さな背中に声をかけた。 「何してんだよ、楓」 けれど返事はない。 「……楓」 もう一度名前を呼ぶ。 やはり返事はなかった。