司会者の一言で、暖かな拍手が二人に贈られた。 皆が笑顔のなか、俺は笑顔になれなかった。 というか、笑顔になる余裕がなかった。 楓。楓。 楓はどこにいる!? もちろんあの告白は聞いてただろう。 まさかこんな形で失恋してしまうなんて。 泣いていないだろうか。 悲しい思いをしていないだろうか。 暗い観客側をさっきよりも必死に見て楓の姿を探す。 その時ふと、舞台以外に光がこぼれた。