蒼空に奏でる詩




「大丈夫だよ。
悠輝は本当に優しいね」



私が笑ってそう返せば、悠輝も私を撫でてくれている手を休めずに笑った。



「……蒼空にだけだよ。優しくするのは」



そんな言葉が聞こえたのと同時に、顔をのぞき込まれる形で微笑まれる。


私はドキッとして真っ赤になった。



「真っ赤になった。
やっぱ蒼空は可愛いな」



いつも元気な悠輝なのに、こういう時にはすごく大人っぽく笑うから……。


私はドキドキしっぱなしになる。



「ほら、行くぞ!
今日から修学旅行の準備だろ?」

「あ……」



私の前を歩く悠輝の手と繋がれた私の手を見て、また嬉しくなる。


キュッと少し力を込めれば、悠輝も握り返してくれた。