幽霊船が何かを曳航している……
それともその何かに曳航させられているのか……
でもそれは間違いなく、パパの乗っていた大型客船だった。
(パパー! 私は此処だよ。パパを助けに来たよ。パパー、何処にいるの?)
本当は大きな声で叫びたかった。
でももしキャプテンバッドに聞こえたら……
「パパ必ず助けにいくよ」
聞こえないないようにわざと小声で呟く。
まだ見つかっていないキャプテンバッド。
いつ遭遇するかも解らないから。
もう一度船を隈無く探す。
でもキャプテンバッドに出会う為ではない。
パパの大型客船に乗り込む為の方法探しだった。
この船の何処かに身を潜めている骸骨達が羨ましそうに見ている。
そう思えてならない。
もし突然襲って来たらどうしよう。
そんなことばかりを考えていた。
やはり甲板から行くしか方法はなさそうだった。
もう一度チビを起こす。
それでも起きないチビ。
仕方ないので、背中におぶった。
その時だった。
「ボンナバン!」
背中でチビが寝言を言う。
それが余りにも的を得ていたので、私は思わず笑い出してしまった。
ボンナバンとはフェンシング用語で《前に飛ぶ》だった。
(あれっ!? 何で知っているんだ? 何時覚えたんだ?)
又頭がボーっとする。
(私って一体何者? それにあの太刀の構え……? 私はフェンシングでもやっていたのだろうか?)
雅が最近フェンシングにハマって、応援に良く駆り出されていた。
(何処かで見た)
会場に向かう駅でも体育館でも、そう思った。
でも、それが何処なのかが思い出せなかった。
記憶の中に埋もれている何か……
それを今探し出そうとしている。
チビの言った『ボンナバン』が、何かの手掛かりになるるかも知れない。
でもチビは本当に言ったのか?
聞き間違いではない筈だと思った。
私の背中で眠るチビをそっと甲板に下ろす。
胸がキューンとした。
何も知らず、又知らされずに……
パパの存在したことさえ忘れていた日々をこれから生きるチビ。
その哀しみを心の奥にしまい、私は再び立ち上がろうとしていた。
パパのフランス土産のリボンが、チビのポニーテールに揺れていた。
私はチビのリボンを外して自分のポニーテールに結んだ。
それともその何かに曳航させられているのか……
でもそれは間違いなく、パパの乗っていた大型客船だった。
(パパー! 私は此処だよ。パパを助けに来たよ。パパー、何処にいるの?)
本当は大きな声で叫びたかった。
でももしキャプテンバッドに聞こえたら……
「パパ必ず助けにいくよ」
聞こえないないようにわざと小声で呟く。
まだ見つかっていないキャプテンバッド。
いつ遭遇するかも解らないから。
もう一度船を隈無く探す。
でもキャプテンバッドに出会う為ではない。
パパの大型客船に乗り込む為の方法探しだった。
この船の何処かに身を潜めている骸骨達が羨ましそうに見ている。
そう思えてならない。
もし突然襲って来たらどうしよう。
そんなことばかりを考えていた。
やはり甲板から行くしか方法はなさそうだった。
もう一度チビを起こす。
それでも起きないチビ。
仕方ないので、背中におぶった。
その時だった。
「ボンナバン!」
背中でチビが寝言を言う。
それが余りにも的を得ていたので、私は思わず笑い出してしまった。
ボンナバンとはフェンシング用語で《前に飛ぶ》だった。
(あれっ!? 何で知っているんだ? 何時覚えたんだ?)
又頭がボーっとする。
(私って一体何者? それにあの太刀の構え……? 私はフェンシングでもやっていたのだろうか?)
雅が最近フェンシングにハマって、応援に良く駆り出されていた。
(何処かで見た)
会場に向かう駅でも体育館でも、そう思った。
でも、それが何処なのかが思い出せなかった。
記憶の中に埋もれている何か……
それを今探し出そうとしている。
チビの言った『ボンナバン』が、何かの手掛かりになるるかも知れない。
でもチビは本当に言ったのか?
聞き間違いではない筈だと思った。
私の背中で眠るチビをそっと甲板に下ろす。
胸がキューンとした。
何も知らず、又知らされずに……
パパの存在したことさえ忘れていた日々をこれから生きるチビ。
その哀しみを心の奥にしまい、私は再び立ち上がろうとしていた。
パパのフランス土産のリボンが、チビのポニーテールに揺れていた。
私はチビのリボンを外して自分のポニーテールに結んだ。


