月明かりに照らされて、もう一つの階段に気付かされた。
そっーと近付く。
長テーブルと長椅子があった。
きっと此処で食事をしたのだろう。
その上にはハンモックが垂れ下がっていた。
船員達はきっと此処で食べて寝ていたのだろう。
奥の奥に何かが見えた。
それは樽のようだった。
私はもう一度携帯を手に取った。
この時代に携帯電話はあっても、私のはきっと使えない。
番号も機能も増えたからだ。
でもカメラや明かり取り位にはなるだろう。
母は私がお風呂に入っている間に充電しておいてくれたから、此処で使えるのだ。
(お母さんありがとう)
私は今は遠い母に感謝しながら、もう一度携帯のカバーを開けた。
その途端に開閉音。
しまったと思い慌ててカバーを閉じる。
でも暫くしてからソッと開けた。
マナーモードにするためだった。
(こんな場面……何かに残したい)
素直にそう思った。
月明かりに照らされて、浮かび上がる帆船。
雄大な光景を、思いっきり満喫した私。
(チビも見れば良いのに……)
真っ暗な夜に満天な星。
おまけに満月。
(えっ、満月!?)
思い出したことがあった。
(パパが行方不明になったのも……確か満月の夜だった……)
ゾォーっとした。
(このまま私達も迷子になったりして……)
一瞬……頭を振った。
(違った。行方不明だった。そう、パパと同じように……)
あの夜は確かに満月だった……。
パパが魔法の鏡をプレゼントしてくれた翌日。
パパは見回りの為船に戻った。
そしてそのまま船と一緒に行方不明になっちゃったんだ。
海賊船の襲来だと言われてきた。
パパが乗っ取ったとも言われてきた。
(そうか! だからお母さんはパパの話をしなくなったんだ。だから私はパパを忘れていたんだ。もしパパが犯罪を犯していたら……? 母はそう考えていたのだろうか?)
それは万が一にも考えられないことだったはずだけど……
パパはあの日から帰って来なくなったんだ。
フォアマストの横に煙突があった。
一瞬潜望鏡かと思った。
(馬鹿が私は……。潜水艦でもないのに)
一人で笑いをこらえた。
(一体これは何なのだろうか?)
好奇心が揺すぶられる。
本当は怖いはずなのに……
そっーと近付く。
長テーブルと長椅子があった。
きっと此処で食事をしたのだろう。
その上にはハンモックが垂れ下がっていた。
船員達はきっと此処で食べて寝ていたのだろう。
奥の奥に何かが見えた。
それは樽のようだった。
私はもう一度携帯を手に取った。
この時代に携帯電話はあっても、私のはきっと使えない。
番号も機能も増えたからだ。
でもカメラや明かり取り位にはなるだろう。
母は私がお風呂に入っている間に充電しておいてくれたから、此処で使えるのだ。
(お母さんありがとう)
私は今は遠い母に感謝しながら、もう一度携帯のカバーを開けた。
その途端に開閉音。
しまったと思い慌ててカバーを閉じる。
でも暫くしてからソッと開けた。
マナーモードにするためだった。
(こんな場面……何かに残したい)
素直にそう思った。
月明かりに照らされて、浮かび上がる帆船。
雄大な光景を、思いっきり満喫した私。
(チビも見れば良いのに……)
真っ暗な夜に満天な星。
おまけに満月。
(えっ、満月!?)
思い出したことがあった。
(パパが行方不明になったのも……確か満月の夜だった……)
ゾォーっとした。
(このまま私達も迷子になったりして……)
一瞬……頭を振った。
(違った。行方不明だった。そう、パパと同じように……)
あの夜は確かに満月だった……。
パパが魔法の鏡をプレゼントしてくれた翌日。
パパは見回りの為船に戻った。
そしてそのまま船と一緒に行方不明になっちゃったんだ。
海賊船の襲来だと言われてきた。
パパが乗っ取ったとも言われてきた。
(そうか! だからお母さんはパパの話をしなくなったんだ。だから私はパパを忘れていたんだ。もしパパが犯罪を犯していたら……? 母はそう考えていたのだろうか?)
それは万が一にも考えられないことだったはずだけど……
パパはあの日から帰って来なくなったんだ。
フォアマストの横に煙突があった。
一瞬潜望鏡かと思った。
(馬鹿が私は……。潜水艦でもないのに)
一人で笑いをこらえた。
(一体これは何なのだろうか?)
好奇心が揺すぶられる。
本当は怖いはずなのに……


