遠くに船らしき物が見える。
必死にオールを漕ぐ。
でも行く手を遮るかのように何かが近づいて来た。
その背鰭に私は腰を抜かした。
(サメだ!)
恐怖のあまり私はパニックになった。
でもそれは良く見ると、イルカだった。
私達の行動を邪魔でもするかのように、イルカ達が遊んでいた。
「わぁーイルカだー!!」
思わず大きな声を出してはしゃいだ私。
(ヤバい! どうしょう、気付かれる)
そう思った。
(気付かれないようにこっそり行かなきゃ意味がない)
私は肝に命じた。
「シッ!」
私は人差し指を唇に近付け、イルカの群れを追い払おうとした。
その時だった。
イルカが一斉に暴れ出しボートはひっくり返り、船底を晒した。
私はチビを抱いたままで、それに這い上がった。
それを見つけたイルカが遊ぶ。
私は青白い顔を海に写していた。
バスルームでの水鏡が脳裏をよぎった。
(この暗示だったのか!? 引き込まれたら……。パパを助けに行けなくなる!?)
私は祈るような気持ちでイルカを見た。
イルカは図に乗ったらしく悪戯根性むき出しに近付いて来る。
(あれっ……? 十年前……転覆したっけ?)
思い出せない……
私は腕に抱えていたチビに気付いた。
チビはまだ眠っていた。
(えっ!?)
私は呆然としたまま、暫くそのまま固まっていた。
(そうだよね。急に起こされて眠いよね)
私は本当のお姉さんになったような心持ちでチビを見つめていた。
(もう駄目かも知れない)
そんな思いが脳裏をかすめる。
それでもヤケクソだった。
体当たりしてきたイルカの背鰭に手を伸ばした私。
でもそのお陰で、あの船の目の前に流されていた。
チビはまだ眠っていた。
でも本当は……
気を失っていたのかも知れない。
チビもやはりボートが怖かったのだろうか?
楽しい思い出。
だった。
お・ね・え・さんとの出逢い。
冒険。
それは、きっと楽しいことしか記憶して居なかったからなのだろう。
十年後の冒険に、出発させるために……
神様がチビに魔法を掛けたのだ。
そう思った。
イヤ違う……
チビは眠たかっただけなのだろう。
何しろ、この私に突然起こされたのだから。
必死にオールを漕ぐ。
でも行く手を遮るかのように何かが近づいて来た。
その背鰭に私は腰を抜かした。
(サメだ!)
恐怖のあまり私はパニックになった。
でもそれは良く見ると、イルカだった。
私達の行動を邪魔でもするかのように、イルカ達が遊んでいた。
「わぁーイルカだー!!」
思わず大きな声を出してはしゃいだ私。
(ヤバい! どうしょう、気付かれる)
そう思った。
(気付かれないようにこっそり行かなきゃ意味がない)
私は肝に命じた。
「シッ!」
私は人差し指を唇に近付け、イルカの群れを追い払おうとした。
その時だった。
イルカが一斉に暴れ出しボートはひっくり返り、船底を晒した。
私はチビを抱いたままで、それに這い上がった。
それを見つけたイルカが遊ぶ。
私は青白い顔を海に写していた。
バスルームでの水鏡が脳裏をよぎった。
(この暗示だったのか!? 引き込まれたら……。パパを助けに行けなくなる!?)
私は祈るような気持ちでイルカを見た。
イルカは図に乗ったらしく悪戯根性むき出しに近付いて来る。
(あれっ……? 十年前……転覆したっけ?)
思い出せない……
私は腕に抱えていたチビに気付いた。
チビはまだ眠っていた。
(えっ!?)
私は呆然としたまま、暫くそのまま固まっていた。
(そうだよね。急に起こされて眠いよね)
私は本当のお姉さんになったような心持ちでチビを見つめていた。
(もう駄目かも知れない)
そんな思いが脳裏をかすめる。
それでもヤケクソだった。
体当たりしてきたイルカの背鰭に手を伸ばした私。
でもそのお陰で、あの船の目の前に流されていた。
チビはまだ眠っていた。
でも本当は……
気を失っていたのかも知れない。
チビもやはりボートが怖かったのだろうか?
楽しい思い出。
だった。
お・ね・え・さんとの出逢い。
冒険。
それは、きっと楽しいことしか記憶して居なかったからなのだろう。
十年後の冒険に、出発させるために……
神様がチビに魔法を掛けたのだ。
そう思った。
イヤ違う……
チビは眠たかっただけなのだろう。
何しろ、この私に突然起こされたのだから。


