綺麗な顔の子がどうして私なんて…って毎回思うけど、私が怯まないのと同じく、彼も引き下がらない。

「とーじ先生っ!」
「おー…」

呼ばれて生徒の元へ向かう花房君。

なんだか情けない後ろ姿も可愛らしくて悔しい。

私が働くこの塾は、個別指導塾。

先生と生徒が一対一で勉強に励む。

ここで働き出して早8年が経とうとしている。

2年前にバイトとしてやってきた花房君はここに通ってる高校生同様あどけなくて、まだまだガキって感じだったけど、大学も2年通えば不思議とガキからオトコに変わる。

だからってオトコとして見るわけじゃない。

年下のオトコとなんて付き合わない。

ましてや同じ職場で恋愛だなんて、もう二度としない。