獅子王は構えたまま動かなかったが。

「フン…何を考えているか知らぬが」

予想通り、あの妙な動きで間合いを詰めてきた!!

…奴の動きは全く見えない。

見えないが。

「ぐはっ!!」

俺は一撃の下に、獅子王を槍の一突きで貫いた!!

「ば…馬鹿な…何故…」

喀血しながら獅子王が言う。

「簡単な理屈だ」

俺は言う。

「如何に動きが見えなくとも、こうして左胸をがら空きにすれば、貴様は心臓を狙ってくる。狙ってくる場所さえわかってしまえば、先読みするのはたやすい」

技術や力を補う智略。

それもまた戦いだ。

「く…そ…」

獅子王は倒れた。

「やはり…鼻に…つく奴だ…」