こうして、東方同盟は成立した。

今度こそ全ての国が納得した上で、危機が訪れた時には手を取り合い、五つの国が一つの国として歩んでいく事を誓い合ったのだ。

「さて…獅子王」

紅が、膝をついている獅子王に近づく。

「貴様は断罪という名を借りて我が女神国の女王を獅子の国に幽閉した」

紅の言葉に、そばにいた全ての兵士達がどよめく。

特に獅子王軍の兵士達は、その驚きを隠しきれないようだった。

…獅子の国の一部の者しか、獅子王の裏の顔を知る者はいない。

獅子王は自国の国民さえも裏切ったのだ。

民衆や兵士の気持ちを考えると、その悲しみはどれ程のものなのか…。

「同盟国、我が国への裏切り、そして獅子の国の王たる貴様が、自軍を私物化し、戦闘行為までけしかけた。今度は断罪されるのは貴様の番だ」

女神兵二人が、獅子王の両脇を抱える。

「連れて行け」

紅の指示で、獅子王は連行される。

…私の側を歩いていく獅子王は、どこか小さく見えた。

だが次の瞬間!!

「ふざけるなぁっ!!」

獅子王は両脇の兵士を振りほどき、あまつさえ兵士の腰の剣を奪って私に斬りかかって来た!!