意識を閉ざすつもりだった。

誰かがそばに近づいてくる度に、私の罪を責めているような気がしていた。

私はもう顔を上げて日の下を歩く自信がなかった。

多くの命を奪った重罪人。

全ての人々に罵られ、怒声を浴びせられ、後ろ指差されながら残る人生を贖罪の為に費やす。

そういう人生でなければならない。

そう思っていた。

しかし、私の内に向いた意識を再び外へと向けさせたのは…戦いの声だった。

虚ろだった瞳に、エメラルド色の甲冑と、獅子の紋章の刻まれた甲冑がぶつかり合う光景が映る。

…なんだ…どういう事だ…。

あれは…我が軍と獅子王軍ではないか…。

なぜ戦っている?

私は同盟を結んだ筈だ。

戦乱の続くこの地に少しでも平和をもたらす為に。

例え偽善と罵られようと、平和な方がいいに決まっているではないか。

だから、せめて自分の目に映る人々だけでも笑顔でいられるように。

争いに巻き込まれて涙する事のないように。

東方諸国だけでも、手と手を取り合おうと。

そう言って同盟を結んだのは、まだこの間の事ではないか。

それが、何故殺し合いなどしているのだ…!?