私は奈央ちんを
少しでも元気づけたくて
奈央ちんの肩を抱きしめた。


「奈央ちん....」



奈央ちんの肩は
一時、カタカタと震えていて
私の胸は痛くなった。



ひどい....勇太くん....
浮気だなんて。


こんなに勇太くんを愛してるのに
勇太くんは簡単に裏切ったんだ....


私の心の中に黒い感情がうごめく。



数十分経って
奈央ちんは落ち着いてきたのか
顔をあげた。

涙で腫れた
奈央ちんの目、
二重が一重になっていて
昨日からずっと泣いたんだろうと
そう考えられた。



「その女、ここの....制服だった」



奈央ちんは
静かに淡々と話し始めた。


「可愛かったよ....多分、先輩。
3年生だと思う。」


3年生か....
匠くんと同じ歳....


「許さない....絶対。許さない。
勇太も....その....女も。」



憎しみを増幅させたように
奈央ちんは言う。



「勇太くんは知ってるの....?
自分が浮気したこと、奈央ちんが知ってるのを。」

「....別れた
....メール送った....」



「そっか....」



「勇太....大好きだったのに....っ
どうして....っ」



奈央ちんの瞳は
いつもの輝きを失っていた。



そしてチャイムがなり
私たちは教室へ戻った。