「もういいだろう。
彪牙、お前は先に帰ってるんだ」
「あ?なんでお前に指図
されなきゃなんねーんだよ」
彪牙は一歩も下がる気配も見せず
獲物を捕らえる目付きで食い下がる。
だが匠くんも負けてはいなかった。
「帰れ」
一言。
その一言だけ、だった。
でもそれだけでも
匠くんが言うことによって
言葉にズッシリと重みが出たのが
手にとってわかる。
怒鳴ったわけでもない。
叫んだわけでもない。
モノに当たったわけでもない。
なのに感じるこの圧迫感。
静かで冷静沈着。
いつも通りの匠くんであって
いつも通りじゃない匠くん。

