「この女たらしが」


そう言ったのは宇都宮彪牙。


「人聞きの悪い。
俺のどこが女たらしだって言うんだ」


「全部だよ、ぜーーんぶ。」



また余計な口を出してきた、宇都宮彪牙。


こいつって
誰かに突っかかんないと
生きてらんないのかなぁ?


ほんと....ガキなんだから。


でも今回は喧嘩にならなかった。
なぜなら哀川匠が話を戻したから。

「彪牙、お前にもこれはいい話なんだぞ?」


「なんでだよ」



「女嫌いを克服できるいいチャンスだろう」




「は?別に克服してーわけじゃねーし。」



なんだ、なんだ?
この二人の会話はぶっ飛んでるんですけど。

なに?なんなの?


どういうこと?



「お前だけの為じゃない。
........お前の女嫌いのせいで
後輩達は迷惑してるんだ。
女マネがいない間
洗濯や、スコア付け全てを後輩たちが
やってる。
少しでも申し訳ないと思わないのか?」


「....ぅ」

宇都宮彪牙は怯んだ。

「このままじゃ顔が立たない。
申し訳ないと思う気持ちが少しでもあるなら
雪乃さんのマネを了承しろ。」



「....っ。
あーーーーー!!もう!わーったよ!!
勝手にしろ!!!!」



半ば投げやりに宇都宮彪牙は
了承し、こちら側に背を向けると
はぶててしまった。


「よし。難関クリアだな」

哀川匠はそう呟くと
私の方を向き直りこう言った


「後は成績のことだろう?
それなら俺らに任せろ。」



「え?」




「俺と亮太と彪牙と
もう二人はいつもトップ5に入る
成績なんだ。」



「え!?すごい!!」


亮太くんと哀川匠とその二人は
ともかく

宇都宮彪牙も!?


....バスケ部 恐るべきだ....



「それと俺らはテスト前1週間の
部活休みに皆でテスト勉強会をやっている
それに君も来れば
一人で勉強するより何倍も成績upが
狙えるぞ
どうだ?信じてみないか?」



「....」




そう言われましても....

ほんとに?


私の成績の悪さを知らないから
言えるんじゃあ....



「ちなみにひゅーちゃんは
バスケ部に入るまで
最下位をさ迷ってたんだよ~」


と、こそっと私の耳元で
亮太くんが教えてくれた。



........最下位から....


トップ5!?!?












「マネ、やらしていただきます。」





私にとってこれは

悪い決断だったのか
良い決断だったのか






まぁとりあえず
この時の私は




成績の事しか頭になくて


この先、どんなことが
待ちわびようとも

知ったこっちゃ無かったという....。