「で?結局どういうことなんだ?」



放課後、
体育館の外。冷水機の前に立って私と彪牙に重くて冷たくて、こわーい声を出したのは
あろうことか、匠くん。


「専用SPの件はどうなったんだよ」


次に恭ちゃん....。

ふ、二人ともご立腹のご様子で....。


「専用SPさぁ、明日からでいいんじゃね?」


そう言ったのは彪牙。
恭ちゃんと匠くんのこの表情を見て
ここまで大きな態度をとれるのはこの男しかいないよ。絶対....。


「馬鹿か、お前は。
今日の専用SPはお前ということで終わりだ。明日は俺がつく。」

「え?匠くんが?」

「嫌か?雪乃」

「い、嫌じゃないよ!全然!
むしろ....」


嬉しいっていうか....、うん。


「ん?」

「う、ううんっ、何でもないっ」


私は顔が赤くなったのが
匠くんにバレないように顔を背けた。
ギュッと目をつむって。


すると「ちっ」と舌打ちが彪牙のいる隣から聞こえたので彪牙を見ると
イライラした怖い形相で匠くんを睨んでた。


「ど、どしたの?彪牙」

「別に。」

「え〜....」


別にって、一番気になる言い方じゃん....。ほんとアホ彪牙〜....。


「てゆうかさ〜、専用SPって必要なの〜?」


声のする方向を振り返ると
そこにはいちご牛乳を手に持ち
ダルそうに歩いて来る亮太くんがいた。

「だってお前、昨日きめたじゃんか。」

「えー、だってさー。
意味ないじゃん。別に〜。
部活中だけ見張っとけばよくない?」


ふいに亮太くんがそう言って
確かに!!って気付かされた。

部活中だけ見張っといてくれれば
私に被害は飛ばないはず!
だって、学校になれば女の子は周りにたっくさんいるわけだしっ。

部活中だけ気を張って気をつければいいんじゃん!

「亮太くん、凄い!頭いいんだね!
感動しちゃった!」

「まぁね〜」


ちょっと得意気な亮太くん。
顔つきが大人びてないせいか
愛らしく思えてしまう。

「....確かにそうだな。
部活中だけ....気をつければいいのか....」

匠くんがそう呟く。

「そうそうっ。そうしようよ!
そしたら皆にめんどくさい思いさせなくて済むしさ!」


匠くんと2人きりになれないのは
残念だけど....。正直。


「....よし、部活中だけ皆で見張ることにするか。」


でも、匠くんだって迷惑になるよね。きっと。
だから明日のSPは最初から無かったって思おう。そうしよう。

私が決意を固めたその時、

「ダメ」


彪牙がまたキレ気味な顔して
そう断言した。