「ちょ、どこ行くの!彪牙!!」

彪牙の無駄に逞しい後ろ姿に
必死に声をかけるけど、

「....」

彪牙は黙ったまんま。

どーっしちゃったのよォ!!もぉ!

きつく握られた手が、熱い。


「ちょ、ひゅ....ーーー」


【ガララ!バタム!】


やっと....止まった....。

....ふぅ....、なに?ここって....
家庭科室だ....。


「彪牙....??」


家庭科室に入ってやっと止まった
彪牙だったけど、
アタシの手を握ったまんま、離してくれない。


「....俺....さ」


ぼそりと彪牙が呟いた。


「....ん?」

「お前から見て、どう....?」

「え」

【ドキッ....】


意味が....わかんない。

え....なに?どーゆー....意味??


「なァ.....?」


【ドン....ッ】


「きゃっ」


家庭科室の壁に無理矢理
押し付けられる。

....いわゆる....壁ドンってやつ....なんだけど....!!

か、顔が....近い。


無駄にイケメンの彪牙の顔が近づけば近づくほどアタシの心臓は無条件にドキドキする。


「あたしは、別に....そんなふーに思ってないよ」


....彪牙のこと。


好きじゃないもん。恋愛的な意味で。
アタシが好きなのはー....


「マジでそォ思ってんの?」

「....うん、そォだよ」

「....そっか」

「うん....」


「ハァ~」と溜息つきながら私から離れる彪牙。

そして緑色の丸い椅子に座り込んだ。


「....お前って変な奴だよな」

「....はぁっ?意味わかんな....」

「そ〜ゆー意味ぢゃねーよ?変な奴って。」

「....じゃあどぉゆー意味なの?」


私は彪牙の前の黄色の丸い椅子に座る。


「こんなチャラチャラした格好でさ、
いかにも女好きみてぇなのに....。
実際女嫌いじゃん?俺って。」

「....」

「まとめていうなら、フカシ野郎
口ばっか....つーか、見てくればっか。」

「....そんなこと」

「ある。そんなこと、あるんだよ。
なのに、お前は....そんな俺を....
ホントーの俺を見てもカッコワリーって思わねぇでいてくれる。」

「....あ」

「....ん?」


もしかして、さっきの
『俺ってお前から見てどォ?』って....


『見た目こんなんだけど、ホントは女嫌いの俺見てかっこ悪いって思う?』←
ってことだったんだ!!


カァァァ!と顔が熱くなる。
勘違いしちゃってたし....!!最悪!


「どした?」

「....え、いやなんでもない!!」

「?....」

「いいの!話続けて!」

するとニコッと笑った彪牙。

「お前ってヤッパ変な奴だよなぁw
けど、女の中で1番信用できる奴....。
アイツとは....ちげぇわ、やっぱ。」

「アイツ?」

「....そんなんゆってねぇよ?」

「アイツってゆったよ」

「....空耳だろ。じゃ、出よォぜ」


教えてくれないんだ。

信用出来るなら教えてくれたって
いいのに。


「彪牙....!」

「ん?」

「....いつか、言えるときが来たらさ
言って....?アタシは無理に聞かない。
待ってるから....」

そう言うと彪牙は一瞬さみしそォな顔をしてフッと笑った。

「なにゆってんのかわかんねぇし」

「....うん、だってアタシの独り言だもん。じゃ、でよォか!お昼ご飯食べなきゃね」

「....。ああ、そうだな。」




そうして、そのまま
私達はお昼を二人で過ごした。