「あ、奈央ちんだ!!」


やっと、見つけた...

奈央ちんは体育館裏の小さな階段に
体操座りしてうずくまっていた。

「彪牙...」

「おう」

そういうと彪牙は私をゆっくりと下ろした

【どきん、どきん】


...どうしよう

足が動かないよ。

何でかはわかってる...
怖いんだ...

奈央ちんに嫌われてるかもしれない

それでもホントーのこと言える?
あたしに...

ホントーのこと言わずに
ごめんと謝れば事は収まるけど...

ほんとーにそれでいいのかな...


また懲りずに勇太くんのこと
言ったら...

嫌われちゃうんじゃ...


不安でその場に立ち尽くす
私の肩をポンポンと叩かれた。

「...?」

【プニッ】

振り向くと彪牙が
指をほっぺにさすとゆーイタズラをした。

「...なっ、なに...」

「らしくもねーツラしてんなよなー!
お前が正しいって思うほうにいきゃいーんじゃねぇの?」

「で、でも...」

「俺はお前が何しよーとしてんのか
わかんねぇし。喧嘩の理由なんかサラサラわかんねぇよ?」

「...」

「でも、お前がダチのこと
理由なしにわざわざ傷付ける奴には見えねぇ」

「...彪牙...」

「お前なら出来るって」

「...ありがとう」

「...おー...」


...ありがとう、ほんとに。
彪牙の言う通りだね。

何怖がってんだろう。

別に嫌われたっていい。

奈央ちんと勇太くんがまたよりを戻して
また奈央ちんがあの頃のように
笑ってくれるなら...


そう思い、私は奈央ちんの方へ
走り出した。




「奈央ちん!!!」