「雪乃」




ポンと肩に手を置かれ
振り返る。



「匠くん....」




そこにいたのは匠くんで
匠くんは気まずそうに私の瞳をみつめた。


「中川が....すまないことをした」





「....」




思わず口をつぐんでしまう。
中川....それはさっき私を襲おうとした奴。



「匠くんが....謝ることじゃないよ
ていうか私は大丈夫だし!」



ニコリと無理矢理えがおを作った。



「ばっかじゃねぇの?」




私と匠くんの会話に
悪態をつきながら割って入ったのは


彪牙だった。




「何一丁前に強がってんだ
バレバレなんだよバーカ」



「強がってなんか....」




「オイ、彪牙。やめ...「いいから言わせろ匠」



匠くんの止める声を
抑え彪牙が続けた。




「....男じゃねぇんだ。
テメーの身、テメーで守れねぇだろ。
だから無理に強がんな。
頼れ。」



「....」



彪牙は真剣な瞳を私に集中させた。
つり目で大きくて
綺麗な黒色の視線が

動けない私を突き刺す。



「だから....よ。」




「え?」





「マネージャー...やめんな」





「...!」






彪牙はその言葉を発した途端に
私から目をそらした。



その代わり私の瞳にうつったのは
真っ赤な可愛い耳だった。