そんな不安は彼によってすぐにかき消されることとなる。
わたしが来たことに気付いた彼はごめんと言ってイスを引いてくれたんだ。
その瞬間、身体中に電気が走ったような感覚に襲われた。
自分の胸の鼓動がどんどん加速していった。
さらに大きな音を立てていた。
この感覚はなんなんだろう。
今までに経験したことのないような感覚。
持久走を走り切ったときと同じことが起きているのに少しだけ違う感じ。
何が違うかなんてこのときはわからなかった。
わたしは小声でありがとうと言って隣の席へ座った。
大事なテストだけど集中なんて全然出来ないでいた。
どうしても彼のことで頭がいっぱいになって。
気付かれないようにこっそりと彼の姿や横顔を眺めていた。
真剣な表情で問題を見つめている姿が、目に映る。
それと同時にシャーペンがカリカリと音を立てているのが聞こえてきた。
かっこいいな…。
心の中で何回も唱えていた。
自分でも数えきれないほどに。

