今日も一人寂しく夕食を済ます竜太郎。
今夜はコンビニ弁当だ。

一人しかいない家で食べるため余計に寂しさが募る。
外で食べればいくらかマシなのであろうが、なぜかいまの竜太郎にはその気がない。

どんなに寂しくとも、周りの雑音から離れる時間が少しでも多く欲しかったのである。



あと2日もすればゴールデンウイークか…

里美と二人で楽しく過ごす予定だったのに。
まさか突然こんなことになるとはな。

“突然”といえば、あのときの親父の家出も突然だった。
今回の“突然”もあのときの“突然”も、両方とも身近な誰かの家出とは…

しかし親父の家出もホントにビックリした。
夜遊びをピタッとやめて、真面目に働いてた矢先だったからな。

親父はいまどうしているんだろう?
ひょっとしてもうとっくに死んでしまったのかもしれない。

消えた10円玉と消えた親父、か…
なんだかおかしいぜ、まったく。



テーブルには相変わらずそのままになっている離婚届。
竜太郎にはまだ、はいそうですかと、すんなり自分の欄を埋める気にはなれなかった。

でもどうあがいても、いずれかは記入しなければならないのだ。
そう、いずれかは…