ギィッと古びた音を立て、ドアを開く。


そこには、朝独特の薄い青空と白いコンクリートが広がっていた。



「う・・・わ」



想像を遥かに超える光景に感嘆の声が漏れる。


それと同時に何でもっと早く見なかったんだと自分を責めたくもなった。


柔らかい太陽の光が体を包む。


気持ちが良くて、少し欠伸が出た。



「どのへんに家があるかなーっ」



欄干に手をついて身を乗り出す。


たくさんの車があっちこっちに慌ただしく走っていく。


家があるはずの方向を向いて背伸びしたり目を細めたりして家を探した。


ーーのがいけなかった。



「っえ、」



トン、と。


誰かに優しく、背を押された。


体は重力に逆らわず落ちていく。


思わず後ろを振り返る。


ーー一瞬。


綺麗な微笑みを浮かべた誰かが見えた。