「おっはよ~!あ、佐藤!お前昨日市役所でナンパされたんだって!?」



部活で汗をかいたサッカーバカ山田が、憎らしいほど素敵な笑顔で近付いてきた。


優雅の前でそんなこと言ったから、優雅がいきなり怒鳴り出す。



「何??ほんとかよ!それ!!許せねーーー!!陽菜ちゃん、本当なの?」



ムキになって怒る優雅を見ていると、なんだか憎めない。

事実とは違うその情報に、熱くなる優雅を少し可愛く思えた。




「嘘だよ。ナンパなんてされるわけないじゃん。」



私は、亜沙子に同意を求めて、亜沙子も頷いた。



「俺の姉ちゃんが、昨日見たんだって。しかも、姉ちゃんの好きな男らしくてさ。お前、もしかして、ナンパされてノコノコ付いていったんじゃないだろうな!」




見てたんだ、喫煙女・・・いや、山田のお姉ちゃん。


しかもやっぱり、清水晴斗が好きなんだ。







いきなりの新情報に、私の頭の中は大忙しだった。


市役所を見ると、まだ晴斗王子は私の方を見てくれていた。



「あいつか・・・陽菜ちゃん。俺に任せろ!」


優雅は、突然私のことを抱きしめた。



隣のクラスにまで聞こえる大声で叫んでしまった。


男の人に抱きしめられるのは初めてだったし、

しかも王子の見てる前でそんなことされて、私は泣きたいくらい辛かった。