7月10日。



下校途中の俺の前に現れたのは、清水さんだった。



なぜか、清水さんは音楽室に行きたいと行った。


俺はてっきり、清水さんはこの高校の卒業生で音楽室に思い出でもあるのかと思った。


でも、案内している途中で、様子がおかしいことに気付いた。




清水さんは、いつも軽い感じで、高校生の俺にも対等に話してくれる人だった。



でも、その日の清水さんは、違っていた。




緊張していると言うか、何か大きな覚悟を内に秘めているような、険しい表情をしていた。



「音楽室に誰かいる?」




「多分音楽の先生がいると思います。他の生徒は・・・いないですね。音楽の先生に、出て行ってもらいましょうか?」



俺は何も知らなかった。


気付いていなかった。




深呼吸をしながら、音楽室の扉に手をかけた清水さんの手が・・・少し震えていたことを不思議に思うべきだった。



「新井先生って人です。」



「ああ、わかった。もういいから・・・」




新井先生と清水さんに接点なんかあるわけがないと決めつけていた。