「俺、大事な人ができた。心から信じられる人を見つけたから。もうお前も自由になっていいよ。」
俺は、音楽室の床を見つめながら、陽菜の笑顔を思い出した。
いつも俺だけを好きでいてくれたあいつ。
付き合えないのに、優しくしてしまう俺を一度も責めなかった。
「誰なの・・・それ。私にはあなたが必要なの。他の誰でもないの・・・」
想像していた通りの展開。
佐知子は泣きながら、座っている俺の膝の前に崩れるようにしゃがみこんだ。
「晴斗・・・やっと会えたのに。」
「ごめん・・・」
最初から無理だった。
3年間会わずにいて、平気な関係もおかしい。
好きだったら、会いたいし、抱きしめたいし、その人が心配になる。
そう思えなかった俺は、佐知子を愛してはいなかった。

